【手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)関連新着情報】→詳細はこちら
・第35回(令和6年度)手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)『受験の手引』公開(’24/04/23更新)

【令和6年度 要約筆記者指導者養成研修 関連新着情報】→詳細はこちら

【新作DVD頒布開始・価格見直し】→詳細はこちら

コラム15 友人のつらい病気

2011年5月10日

5月5日は子どもの日
屋根より高い鯉のぼり~♪おおきいまごいはお父さん~♪
おこちゃまたちの楽しいイベントの日ですね。
楽しいはずのゴールデンウィーク、
実はちょっと試練なのです。
非常に個人的で暗いと言えば暗い話ですが、あえて書かせて頂きます。

明日は子どもの日だよ・・・かしわ餅持って来たよ・・・と、
病床の親友であり高校時代の後輩に語りかける。
もしかしたらもう時間の問題かもしれないと、
覚悟しているかのような後輩の途切れ途切れの会話。
これが、聞き取れない・・・・。
でも、他の友人達が「かきぽん(筆談器)」に書いてくれたりで、
何とか何とかしのぐ。

突然枕元に皆が集まった・・・先輩!!と呼ばれて行くと、
「いいですか・・?」と後輩「皆聞いているよ」
何か歌っているらしい・・ということが、他の友人のうなづきや手拍子で分かった。
苦しい中かすかな声で歌い終わると、拍手が沸き起こり、皆泣いている。
あ~~~聞こえていたらなぁ・・・そんな気持ちは今日はない。
聞こえなくても、最後の看取りの末席にいることはできる。
そして、表情や息の具合、酸素のチューブを通る息の温かさや冷たさ、
目に見えるわずかな変化を見ていればわかることが沢山あるし、
とにかく祈ることもできる。

人の死はいつくるか予想がつかないが、
もしかしたら、神様が、現世において役目を果たしたと判断したら
迎えに来るのかもしれない。
後輩はとても真面目な優等生だ。頑張り過ぎて病になった。
自分は聞こえなくなったし、後輩はもうすぐ天に召されていく。
諸行無常の世において、障害も悲しい別れも受け入れ、耐えなくてはならない。
真面目な後輩が最も望むことは、
皆に囲まれて愛された状態で楽しく恰好良く逝くこと。
明日もまた役者になって後輩を笑わせよう。

高校時代の友人、バスケット関係者、その他もろもろ・・・、
聞こえていた自分しか知らない大勢の方々との久しぶりの
コミュニケーションが待っている。
憂鬱でないといえば嘘になる。
通訳を依頼しようか・・・・どうする・・・迷う自分がいる。
通訳がいれば確かに聞き間違えや聞き漏れもなく、
情報保障はばっちりだろうが、皆との距離が開くなぁ
会議でもないし・・暗くならないためにも、介助なしで直球勝負でいこう。
聞こえなくなった自分を皆助けてくれるはずだから。
信じよう。大丈夫。

このコラムを書いていた時は、もう時間がないと思っていた。
だから仕事もちょっぴりキャンセルさせてもらって後輩の側にいた。
が!しかし!今日、行ってみると、ちょっぴり元気になっていた!
うわぉ!!すごい嬉しいなぁ~~。
沢山話せたし、何と彼女からのリクエスト
「○○のシュークリーム食べたい」である!
さすが食いしん坊仲間!
明日買ってくるからねと言うと・・・・・・、
ほとんど自由を奪われている指を一生懸命上げて、
「あ・し・た」と人差し指一本出した。
手話だ!!
病になってから私のために地域の手話講習会に通ってくれたんだっけ。
涙がこぼれてしまったので、見つからないように
「手話上手じゃん!あははは!じゃ明日ね」と、でかい声で言いながら、
そそくさと帰ってきた。
明日はシュークリームを調達して届けよう!